ゲルマニュームダイオード と トランジスタ
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日立
ゲルマニュームダイオード
1N34A |
東京通信工業
ゲルマニューム
トランジスタ
2T** |
日立
ゲルマニューム
トランジスタ
HJ** |
ナショナル
ゲルマニューム
トランジスタ
OC**
MA** |
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NEC
ゲルマニューム
トランジスタ
ST**
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下は、昭和30年4月頃のトランジスタ価格
(出典は1955-5月号電波技術広告)
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PNP合金接合形、低周波用トランジスタ
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2T11(一般用) | 2T12(一般用) | 2T13(高増幅率) | 2T14(低雑音) |
\2,000.- | \2,500.- | \3,000.- | \3,500.- |
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ゲルマニュームダイオードやトランジスタが、
ラジオ少年の手に入るようになったのはいつ頃だったのでしょうか?
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下は昭和29年(1954)年7月号の無線と実験の記事です。
曰く、「トランジスタは高価で手が出せない」
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下も同じく昭和29年(1954)年7月号の無線と実験の記事です。
曰く、トランジスタはアメリカでも量産されておらず、主に補聴器に使われている。
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昭和30年になると”部品”としてのトランジスタも市場に出始めましたが下に見るようにとんでもなく高価でした。
今の値段に換算すると、平均的サラリーマンの一ヶ月分のお小遣い?
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下は電波技術 昭和30年(1955)5月号による、代理部での販売価格です。
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***** 1、ゲルマニュームダイオード *****
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手元の資料で最初にゲルマニュームダイオードが出てくるのは下の広告ですが
残念ながら販売価格は記載がありません、又巻末、代理部でも販売の記載はありませんでした。
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ラジオ技術誌 昭和29年(1954)11月号の広告
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私事で恐縮ですが、小学校 5〜6年生の頃(昭和30年頃)、NECの代理店から
ゲルマニュームラジオ用のダイオードを ¥700円 で買ったのを覚えています。
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昭和30年当時の物価を調べてみると、これらがどれほど高価な代物だったかわかります。
貧しい暮らしの中から大枚をはたいて買ってくれた親父に改めて感謝の気持ちが湧いて来ます。
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その後、トランジスタラジオなどの普及に伴って量産も進み、値段は急速に低下します。
ダイオードの値段の推移を見てみましょう。
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昭和30年(1955)年5月
電波技術
昭和30年(1955)年6月
ラジオと音響 |
昭和32年(1957)年2月
模型とラジオ |
昭和32年(1957)年8月
電波技術 |
SONY 1T21(1N54相当) | \580.- | \500.- | \400.- |
SONY 1T22(1N34相当) | \500.- | \300.- | \200.- |
SONY 1T23(1N51相当) | \350.- | \230.- | \160.- |
SONY 1T24(1N38相当) | \900.- | \700.- | \550.- |
SONY 1T25(1N56相当、)
(高伝導型、低インピーダンス回路用) | \580.- | \500.- | \400.- |
SONY 1T26(1N38相当)
(テレビ第2検波用) | \400.- | \250.- | \180.- |
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製作記事
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昭和30年(1955)7月号電波技術誌の回路図集から拾ってみました。
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とても”ゲルマラジオ”とは思えないような凝りにこった回路ですが
”鉱石”から各段に進化したダイオードを生かし、”素晴らしい性能のラジオにしたい”
と言った意気込みが感じられます。
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高価なゲルマニュームダイオードを2個も使った高感度ラジオ
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選択度のすぐれたハイファイラジオ
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***** 2、トランジスタ *****
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トランジスタは(日本では)昭和29年頃から製造されていたようですが、性能が安定せず
歩留まりも悪かったので、とても高価な代物でした。
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NHK技研の内田秀男さんはトランジスタがアメリカで発表される以前に、
鉱石検波器に針を二本立てて増幅作用を確認していたことで有名ですが、
無線と実験 昭和29年7月号にはゲルマニュームダイオードをトランジスタに改造する記事を発表しています。
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本物のトランジスタはとても高価で、、ラジオ少年の手は届きませんが
ゲルマニュームダイオードなら、なんとか入手出来たので記事を参考に挑戦した人もあったのでしょうか?
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昭和30年に入ると
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PN接合のトランジスタが実用化され、
性能が安定して歩留まりも改善されたので高価ではありましたが、一般人にも入手可能な状態になりました。
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東京通信工業(ソニー)が一足先行していましたが、電気メーカー各社も先を争って発売しています。
真空管の時もそうだったように、トランジスタの型式も各社それぞれ独自の命名をしましたが
種類が少なかったので不便は感じなかったようです。
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その後、名称の統一が行われ、「2S123」 のような形になりましたが
「2SA123」のような現在の形になったのは昭和35年になってからでした。
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名前のつけ方が変ると共に、技術の進歩に従って新しい製品が生まれ、古い製品が廃止されたので
古いトランジスタラジオを修理するとき、代替にどの石を使ったら良いのか混乱します。
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CQ出版社から”トランジスタ互換表”なども発行されていますが変化が急だったため追いかけ切れず
古い名前のトランジスタがどのように変っていたのか分からないところが沢山あります。
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そこで、当時の資料を探し集めて型番の変遷を追いかけてみました。
古いトランジスタラジオなど修理する場合の参考にして下さい。
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東京通信工業(SONY)トランジスタの型番推移
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松下電器(ナショナル)トランジスタの型番推移
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神戸工業(TEN)トランジスタの型番推移
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日立製作所 トランジスタの型番推移
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日本電気(NEC)トランジスタの型番推移
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昭和30年頃の物価