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1943年(昭和18年)の出来事
第二次世界大戦中に完成した万能真空管 「FM2A05A」

戦争には様々の”兵器”が必要ですが、真空管も重要な”兵器”の一つでした
通常の無線送受信機でも、 発振,増幅,検波,等々その目的別に真空管を使い分けるのが
普通ですが、戦地では破損したときの予備品を揃えるのがとても大変でした。

そこで考えたのが”万能球”です。

一種類の真空管で多くの役目を担えば予備に持っていく真空管も少なくて済むわけです
日本で考えられた万能球の代表が、この真空管でしょう。

型名は「FM2A05A」です

中央はシールドケースを外した姿です
トップに出ているのはG1(制御格子)
FM2A05A

誕生までのいきさつを簡単に辿ってみましょう。
  • 昭和15年、日本無線がテレフンケンのNF-2をベースにFM2A05Aの開発に着手 ?。
  • 昭和16年3月 受信管 FM2A05A完成
(田尾司六 解説真空管 日本放送協会 19491.9 我が国における真空管の発達3 
日本無線株式会社における真空管製造の歴史 に拠る)
  • 昭和18年、海軍は”航空関係用万能真空管”に制定(電子管の歴史P84)
  • 戦局の拡大とともに需要が増大したが歩留まりが悪く製造が停滞。
  • 川西機械と松下無線が生産を開始したが性能が不安定で、増産できず。
  • 急遽性能の合格ラインを引き下げて対応したがそれでも生産性上がらず。
  • 東芝にも製造を要請したが、当時の技術本部長 西堀栄三郎氏(後に南極観測で活躍)は
製造の難しいことを理由に了承せず、代わりとして当時すでに航空機用として使われ始めていた

「RH2」を原型に 「ソラ」 の開発に成功した。(昭和19年)
  • 戦後(昭和20年12月) 日本無線はFM2A05AをベースにGT管型受信管Nシリーズ(後にGシリーズ)を発売した。
ご覧頂く資料は、表面の腐食が激しく、印刷が消えているので詳細は不明ですが、
間違いなく本物のFM2A05Aだと思われます。
FM2A05A電極


FM2A05A規格表