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振動式バッテリー充電器

1920年代始め、日本では大正14年頃にラジオ放送が始まりました。

受信機は鉱石ラジオか真空管式、
真空管の電源は全て乾電池バッテリーで働くものでした。
家庭用の電灯線で働く交流用真空管がRCAから発表されたのは、1927年(昭和2年)です(226、227)。

真空管式のラジオに必要な電源は以下の2〜3種類のバッテリーです。
A電源:フィラメント点灯用:1.5ボルトの乾電池又は6ボルトのバッテリー
B電源:真空管の陽極に加える高電圧:15ボルト〜120ボルトの乾電池又はバッテリー
C電源:真空管の動作点を決める電源:通常は4.5ボルトの乾電池

以上3種類の電源のうち、A、B、の両電源は消耗が激しいので充電できる蓄電池が利用されました。
C電源は不要のセットもあります、又省略しても一応受信は可能ですが、この電池は消耗しないので
(受信機の動作状態では電池を充電する方向に電流が流れる)
一度買っておくと長期間そのままにしておいても大丈夫です

バッテリーを充電するためには電灯線の交流を直流に直す”整流機”が必要です。
整流機には大きく分けて3種類あります。

1、化学的な整流装置 ; 大掛かりな上に保守も大変で、一般家庭で使うのは大変
2、水銀蒸気封入の整流管(タンガーバルブ) ; 高性能で取り扱いが容易だが大変に高価
3、ここに紹介する”振動式充電機” ; 安価だが調整が難しい

”振動式充電機”の資料を入手したので紹介させていただきます。

バッテリー接続のページへ

振動式充電機にも高級品から簡易型まで色々あったようですが、最初に紹介するのは、
Aバッテリー用の変圧器を内臓した”超高級品”の振動式充電機です。
点灯しているカーボン電球は、Bバッテリーの充電電流制限用の抵抗として働いています。


Bバッテリーの充電中は通常の半分以下の
明るさで電球が点灯します。


内部には巨大なAバッテリー用の変圧器と電流調整用の
抵抗(左の陶器の筒の中のコイル状のもの)があります


Aバッテリーは容量によって3段階に切り替えます
一番左に切り替えるとBバッテリーの位置になり
大小の電球を取り替えて充電電流を調整します。


手前に見えるのはバイアス用マグネットです。
この永久磁石の働きで一定方向の電流のみを
選択的にバッテリーに流すことが出来ます。

コイルの中の振動片には
共振周波数調整用のウエイト兼用の鉄片が見えます。

写真の位置は50ヘルツ用で、関西で使う場合はずっと
奥にずらせて共振周波数を60ヘルツに合わせます。

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最も単純な回路構成の振動式バッテリー充電器
ウエイトの位置は関東向けの50ヘルツ

関西で使うように、2Cmほど奥に移動しました

A蓄電池を充電する場合は、大きなカーボン電球を2個使用しますが、
B蓄電池を充電するときは、小さな電球を1個だけ使用します。


説明書が入っていましたが、虫に食われて穴だらけです

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上のものと外観は同じですが、下の回路で見ていただく通り、2個の電球はそれぞれの役目をもっています。

電源の接続は
電球を外してねじ込むように設計されています。
(ねじ込んでもコードがねじれない)

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この充電機は電球を3個使っています。
真中の小さい電球は振動片の駆動専用です。

箱の中に入っていた説明書です。
調整方法が端的に表現されていて、その通り調整したら立派に充電機として働いてくれました。


接点の調整は微妙で熟練を必要とします。

最初はバッテリー端子を短絡しておき、概略の調整を済ませておきます。

緩めた調整ネジを徐々に締めて行くと静かに振動が継続するようになります。

次にバッテリーを接続し、接点から火花が出ない状態でランプが暗く点灯し、静かに振動が継続するようになれば調整完了です。

バイアス用のマグネットは薄くて小さな
馬蹄形磁石です。

電源プラグは全て同じで、電球を外して
代わりにねじ込んで使います。




永久磁石の極性は、交流の半サイクルがバッテリーを充電する方向になった時に接点を閉じる方向に力が働くように決めています。




構造の説明図





”A”バッテリーの充電は容易ですが、”B”バッテリーの充電は調整が難しくなります。




交流の半サイクルをうまく利用できるのは振動の方向を決めるマグネットの働きです。


最も単純な回路構成の充電機(上から2番目の”ユーワイ式”)で実際に
バッテリーを充電しながら電流波形を観測しました。

実験には、原付バイクから外した12Vのバッテリーを使いましたが、立派に実用になります。
この充電機は原理的に電圧が高いと調整が難しくなるので、説明書にも記載がある通り
最高でも45ボルトくらいで、それ以上の電圧のバッテリーを充電する場合は分割して
並列接続する必要があります。

下のグラフは 上側が充電電流波形、下側が電源交流の波形です

接点押えネジの調整は以下のように調整します。
1、ランプが暗く安定して点灯すること
2、接点に火花が見えないこと
3、静かで安定した振動音が聞こえること

1番目は押え不足の波形です
押えがゆる過ぎると接点からは激しい火花が飛び、電流は安定しません。
振動音は不安定で、ランプも明滅するので判断できます。


接点の押えを最適に調整したときの充電電流波形

最適の状態では、綺麗な電流波形が観測され、接点の火花も消えます、
静かな振動音が軽やかに響いて聞こえます。
周囲に雑音を撒き散らすのではないかと心配していましたが、
ラジオ放送を受信ていても、雑音は殆ど感じられませんでした。


押えすぎの波形

ネジを締めすぎると振動音が大きくなり、周期の一部で電流が逆流するようになります、
この状態では、再び接点に火花が見えてラジオからは雑音が聞こえるようになります。

このような状態でもバッテリーの充電は出来ていますが、
接点が痛むのと、雑音の発生で近所に迷惑がかかります。

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