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1944年(昭和19年)の出来事
第二次世界大戦終了間際に誕生した万能球 ”ソラ”

昭和14年 日本無線がテレフンケンのNF-2をベースに開発に成功した”FM2A05A”は
その後の官民(軍民)挙げての製造努力にもかかわらず歩留まりの悪さが改善されず
合格基準を下げて対応していましたが、尚も絶対数が不足していました。

そこで海軍が製造を委託していた東芝にもFM2A05Aの製造を要請しましたが
当時の技術本部長 西堀栄三郎氏(後に南極観測で活躍)は製造の難しいことを理由に了承せず
代わりとして当時すでに航空機用として使われ始めていた
「RH-2」を原型に 「ソラ」 の開発に成功しました。

 「ソラ」は大量生産できることを前提に設計され、材料も極度に不足している状況から
”トタン屋根を剥してでも”作れるように考えた(西堀栄三郎氏談)のだそうです。

品質管理基準を完備し、
徹底的に微細な部分に至るまで製造マニュアルを作成して
”新橋の芸者を集めてでも製造可能(同)” と言う優れものだったそうです。

戦後の飛躍的な工業生産の芽生えがここにもあったのでしょう。

ソラの外観
そう言われて見れば、
外から見える静電シールドは
トタン板の雰囲気です。?
”ソラ”のマーク
ガラスを割って中を見たい欲望に苛まれていますが
貴重な資料なので今のところ思い止まっていますが・・・
ソラの足配置


オーム社から1987年に発売された”日本電子機械工業会、電子管史研究会 編”の
電子管の歴史、P84〜P85 には以下のように当時の状況が記載されています。



又、同書のバックデータを集めた資料編(非売品)P117の
”東京芝浦電気株式会社 電子工業研究所 技術本部” の
”ソラ使用説明書” には下のような構造図と共に
詳細な特性や使用方法、注意事項などが記載されています。